法人税等の調査事績 海外取引等に係る調査で2308億円の申告漏れを把握
2016/11/09
国税庁はこのほど、平成27事務年度における法人税等の調査事績の概要を公表した。
まず、平成27事務年度における法人税調査では、大口・悪質な不正計算が想定される法人など、調査の必要度が高い法人9万4千件(前年対比98.4%)について実地調査を実施。このうち法人税の非違があったのは6万9千件(同99.1%)、申告漏れ所得金額は8312億円(同101.0%)、追徴税額は1592億円(同93.3%)だった。
法人消費税については、法人税との同時調査等として9万件(同98.7%)の実地調査を行い、消費税の非違が認められたのは5万2千件(同99.9%)、追徴税額は565億円(同125.1%)となった。
源泉所得税等については、11万3千件(同97.0%)に実地調査を行い、非違があった源泉徴収義務者は3万4千件(同100.5%)、追徴税額は435億円(同166.8%)だった。
平成27年事務年度における主要な取り組みとしては、まず、虚偽の申告により不正に消費税の還付金を得ていると認められる消費税還付申告法人7500件(同100.4%)に対して実地調査を実施し、前年の約2倍となる消費税152億円(同197.4%)の追徴課税を行った。このうち、800件(同105.2%)は不正に還付金額の水増しなどを行っており、30億円(同266.4%)を追徴課税した。
次に、事業を行っていると見込まれる無申告法人に対する実地調査では、法人税46億円(同142.5%)、消費税40億円(同113.0%)、合わせて86億円(同126.9%)を追徴課税した。このうち、稼働している実態を隠し、意図的に無申告であった法人に対し、法人税22億円(同129.5%)、消費税8億円(同102.7%)を追徴課税している。
そのほか、海外取引法人等に対して1万3000件(前年対比100.7%)の実地調査を行い、海外取引等に係る非違があったものを3400件(同98.0%)把握。申告漏れ所得金額は2308億円(同104.6%)だった。海外取引等に係る申告漏れ所得金額は、前々年が1783億円、前年は2206億円と増加傾向にある。
また、海外取引等に係る源泉所得税等については、非居住者や外国法人に対する工業所有権等の使用料や国内不動産の賃借料などの支払について源泉所得税等の課税漏れを1500件(同102.3%)把握。追徴税額は前年から4倍以上となる170億円(同417.2%)に増えている。
海外取引等に係る源泉所得税等の非違(件数)の内訳は、「使用料」が最も多く35%。次いで、「不動産賃貸」16%、「給与等」16%、「人的役務提供事業」12%、「不動産譲渡」11%、「利子・配当」11%となっている。